フィリピン生まれススキノ育ち
国内、世界を回り新たな伝説へ

スペイン人の父とフィリピン人の母の元に生まれ子供の頃はフィリピンで過ごしていました。両親が女のコを欲しかったと言うこともあり、ずっと女のコとして育てられて来たんですよ。インターナショナルスクールに通っていたこともあり、特にセクシャリティの問題で嫌な思いをすることもなく、明るく健やかな子供時代を過ごしました。

日本に来たのは16歳の時。親同士が友人だった養父と養子縁組により札幌に移住したんです。気候は寒かったですけど、街は綺麗だし人も優しいし直ぐに大好きな土地となりました。

幼少期からダンスを習っておりTVのショーダンサーなどもやっていたので、日本でもエンターテインメントに関わりたいと思い、18歳になるとフィリピンショーパブで働き始めました。

19歳で人気の大箱ショーパブに移りそこでチーママ、ショーリーダーを務めながらNo．1になりました。丁度、景気の良い時代だったのでチップもびっくりするくらいよかったし、差別や偏見も少なく嫌な目に遭うことは少なかったように思えます。

もちろん、"ジャパゆきさん"なんて言葉があった時代ですから、中には見下して来るような人もいなかった訳ではないですけど、そんなことには負けなかったし、だから今の私がいるんだと思います。

初めて自分のお店を持ったのは2001年9月14日。はっきり覚えています。スポンサーになってくれる方が現れて誕生日プレゼントとしてショーパブ「シュウ」と、ラウンジ「エンジョイ」を開業させてもらったんです。

いきなり30人を超える大所帯を任せられ苦労も多かったですね。でも元来、人の面倒をみることは好きだったし、経営していくことも面白かったので楽しい気持ちの方が大きかったです。

その後、フィリピンメンパブ「EVOL」もオープンして経営は最初から順調でしたね。スタッフへ教えたことは「嘘をつかないこと」「日本で働くからには日本の常識に従うこと」で、これは今も変わっていません。

私、基本的には優しいんですけど、この二つに関して守れない場合は厳しく叱るようにしています。自分自身のこととしては、怒られたり注意されたりするのは嫌なので常に完璧を心がけています。中途半端なことをして負けたくないし「さすがだね」って言われていたいんです。

この頃からTVにも呼ばれるようになり、タモリさんや嵐、さんまさんやAKB48など人気タレントの皆さんとご一緒させていただくことで随分、刺激も受けました。

お店を始めて7年ほど経った頃、人を信じすぎて騙されたことや、景気が下向いて来たこともあり一度全てをリセットしてフィリピンへ帰ろうかなと思っていたんです。でも名古屋の知人から帰国する前に店の立て直しを手伝ってほしいと言われ、店を閉めてスタッフを連れて行くことになりました。

そこでお手伝いをした後は声がかかるままに、岐阜、旭川、銀座と全国を回ることになり、結局フィリピンに帰ったのは2015年のことでした。フィリピンに戻ってからは調理師の勉強をしていたのですが、より本格的に学ぼうと思い３ヶ月ほど経ったところで、オーストラリアへ行ったんです。そこで出会った彼氏の仕事の関係でドバイを始めとする世界各国を飛び回る生活を送ることとなり多くを学ぶことができました。おかげで視野が広がった気がします。

色々なことがありましたが、札幌に帰ってきたのが昨年のこと。ススキノも随分、様変わりしており、またお店を始めるかは不安もあって迷いました。だからまずはラウンジをやってみて、1年やれたらもう一度、ショーパブをやろうと決めたんです。

おかげさまで「ジョジョ・ルージュ」も1年７ヶ月経ち、今はショークラブ「トライロス」の10/17のオープンを目指して準備中です。

最初、この店を始める決意をインスタにアップしたところ、これまで関わってきたスタッフが東京、福岡、大阪など全国から一緒にやりたいと集まってくれたんです。そんなみんなの想いも詰まったお店となるので、ニューハーフショーパブと言う枠を超えてラスベガスの本格的なショークラブとも遜色がない本格的なシアターを目指しています。

「トライロス」はギリシア語で「伝説」と言う意味なんですよ。その名に恥じない私の集大成とも言えるようなお店を目指しているので期待していただければと思います。

また、私は周囲の人にも恵まれ生きてこれましたが、まだまだ性的マイノリティーの方の生きづらさってあると思うんです。だからそういう方々には、話相手がほしい、相談したい、働きたいなど何かあれば面倒見ますので気軽に来てもらいたいです。

私の好きな言葉は「beaty with a purpose（目的を持った美しさ）」です。一緒に負けないで前を向いて歩いていきましょう。